〜Memories〜 4
近頃街で変なものが流行り始めた。
誰が創案したのか分からないが『マミー人形』なるものが巷に蔓延っている。マミーとはそのままミイラのことを指すのだが、この人形は実物とかけ離れて可愛らしく顔まで描いてある始末だ。この人形を流行りだけで持っているノービス、一次職よ、ピラミッドに行って 現 物 を 見 て 来 い 。
何故このようなものが流行ったかというと、元々は戦地に赴くエインフェリア達が身代わりに付けていたことが発端らしい。しかしなぜマミーでなければいけなかったのか、そこ
を小一時間問い詰めたい。
そしてその身代わり人形は、自分や大切な人を護ってくれるという噂によりカップル達の間で爆発的に広まった。お揃いねなんて言ってる馬鹿ップルがいたら、オシリス様に捧げて来ると良い。
因みに今の謳い文句は『私だけのナイト』らしい。このポスター、引きちぎってやりたくなる。
ポスターを見ているティアの顔も微妙だ。むず痒く感じているのは間違いない。しかし億が一に欲しいと思ってもこの人形、思ったよりも高いのだ。新参のノービスにはちょっときつい値段だろう。
そんな彼女を見かねて、一人の商人が声をかけてきた。
―――彼が全ての始まりだった。